まえがき

はじめに

 DSSSL は,SGML および XML 文書のためのスタイルシート記述言語を定めた国際規格(ISO/IEC 10179:1996 Information technology – Processing languages – Document Style Semantics and Specification Language)です。DSSSL が国際規格として承認されたのは,今からおよそ 10 年前の 1996 年のこと。つまり,承認後,すでに相当の年月が経過しています。
 しかしながら大変残念なことに,DSSSL の学習書・参考書は,日本国内に限らず海外に目を向けてみても,ほとんど皆無といった状況が続いてきました。すなわち,規格書だけが頼りであったわけですが,規格書独特の表現についてはさておくにせよ,もとより学習の用向きに書かれたものではありませんから,学習者,とりわけ初学者にとっての手引きが不足していることは,DSSSL の習得を困難にしていたと言えます。
 幸いなことに,近年になって少しずつではありますが,学習書が刊行されています。洋書の学習書としては,規格全般を網羅した Javier Farreres 氏の『The DSSSL Book: An XML/SGML Programming Language』があります。和書では弊社製品添付の『はじめての DSSSL』に加え,初歩的なスタイルシート製作の学習により重点を置いた『Learning DSSSL: Style Sheet Primer』を 2003 年に刊行しました。
 ところで,当社は DSSSL 規格に準拠した SGML/XML 文書自動組版ソフトウェアを商業製品として開発・販売している唯一の企業です。DSSSL を普及させることは当社にとって悲願のひとつであり,そのためにユーザーの便宜を図ることは責務であると認識しています。この認識に立脚し,学習参考書のさらなる充実を企図した結果,学習者のみならず実務者にも有益となるリファレンスブックの制作が急務であろうという結論に至りました。本書は,この企画のもとに結実した成果です。
 本書はプロシージャ他の解説編である Volume 1 と,フロー・オブジェクト・クラス解説編である Volume 2 の二分冊構成となっており,それぞれについて収録項目を辞書順に配置することで,規格書に目を通したことのない方でも見出し語を探しやすいように配慮しました。用語は極力平易な語を用いるよう注意していますが,すでに初歩の学習を終えた実務者を主たる対象読者としていますので,DSSSL 特有の用語の一々について解説を加えることはしておりませんのであらかじめご承知おきください。
 最後に,本書の制作に力をお貸しいただいたすべての方々に,この場を借りてお礼申し上げます。願わくば,本書が DSSSL に携わるすべての方々のお役に立ちますように。
 

ネクストソリューション株式会社
 リファレンスブック制作委員会

 2005 年 12 月

本書の構成

 本書は,プログラミング可能な文書操作に必要となるプロシージャ他の要素をまとめた Volume 1 と,文書のレイアウトを記述するために必要となるフロー・オブジェクト・クラス,およびその特質をまとめた Volume 2 の 2 冊 に 分 か れ て い ま す。 収 録 項 目 は ISO/IEC 10179:1996 をもとに,修正項目の記載された Technical Corrigendum 1,追加項目の記載された Amendment 1:2003 および Amendment 2:2005 から採録しています。また,採録した見出し語,および見出し語の子項目はすべて辞書順に配置してあります。
 Volume 2(フロー・オブジェクト・クラス編)のみ親項目̶子項目という構成となっており,フロー・オブジェクト・クラスを親項目,その特質を子項目とし,親項目の説明の後に子項目の一覧を記載し,その後に各子項目について記述する形式としました。
 各見出し項目については,関連する項目のほかに,原典である規格書の参照を助ける目的で,ISO および JIS 規格書中の該当ページをそれぞれについて記載してありますので,原典にあたる必要が生じた場合も素早く確認することができます。なお,Amendment 1 および Amendment 2 については IS 化前の資料を基に制作したため,IS 化後の最終版として出版されているものとは若干ページ番号が異なる可能性がありますので,あらかじめご承知おきください。

本書における表記法

本書では,本文中に以下の印刷上の表記法を用いています。

Constant Width

シンボル,式,プログラムリストなどをあらわします。

Constant Width Italic

プロシージャ,あるいは特質の引数など,状況に応じてユーザーが適切な値に置き換えるべきテキストをあらわします。

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