3.1.4. CSSとの違い

 スタイルシートと言えば、一般にはCSS(Cascading Style Sheets)が最もよく知られているのではないでしょうか。文書フォーマットのために用いるという観点に絞れば、CSSとDSSSL のどちらも同じ役割を持っていると言えます。
 CSS は元々、HTML からスタイル情報を分離するところに出発点を置いています。この結果、オンライン表示用の指定が非常に充実しており、さらにCSS2 ではスクリーンへの表示にとどまらず、音声(aural)デバイス用の指定などの様々な拡張が見られます。
 しかしながら、オンラインデバイスには元々ページの概念がないこともあり、CSS を印刷用として考えた場合は機能不足の感があります。
 これに対して、DSSSL は印刷用途を中心に検討されており、データをスマートにページ内に格納するための指定や、表紙と本文、あるいは見開きページの左右いずれかによって、ページレイアウトを動的に決定するなど、ページデバイスを扱うための指定が充実しています。逆に、オンライン用としては見劣りするかもしれません。
 今述べたように、CSS とDSSSL では用途によって発揮できる能力が異なり、どちらが優れているというよりは互いに補完し合う関係であると捉えることができます。用途に応じてこれらを使い分けるとよいでしょう。

 なお、CSS とDSSSL では言語の文法が全く異なりますが、概念的な部分ではオーバーラップする部分もありますので、一方で習得した知識は他方の習得に役立ちます。機会があれば両方の学習にチャレンジしてみてください。

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