2.1.1. データ主体のXML文書

 XML をデータを主体として利用する場合、その用途は千差万別であり、なかにはほとんどパブリッシングに適さない、あるいは意味のないものも少なくありません。特に、システム間の橋渡しとして利用される場合、送出先システムに特化した形態になっているケースがあります。
 しかし、これが企業情報システムに組み込まれたものであるならば、源流を辿った先には何らかのデータベースとして存在している可能性があります。つまり、このデータベースに格納されているデータを汎用的な形態でXML として出力することができれば、パブリッシングへと転用できる可能性が見えてきます。
 さて、ここで2 つの問題について考える必要があります。
 ひとつはデータベースに格納された情報の山の中から、何を出力すべきかということです。単に存在するデータを並べるだけではなく、情報を適切に収集、加工し、生の状態から調理して出力する必要があります。技術的なスキルのみならず、想像力が要求される場面でもあります。
 もうひとつは、システムの中にどのように位置づけるかという問題です。何らかのイベントの発生をもって自動で出力するのか、それとも人手を介する必要があるのかによって、パブリッシングのシステム内での位置づけや、使用するツールの選択にも影響してきます。
 このとき組織にとって自動化が重要な要素である場合、DSSSL などのスタイルシートを利用したパブリッシング手法は適合性が高いといえるでしょう。逆に人手を介する必要がある場合、特に組版後の出力を微調整などのために修正する必要がある場合は、InDesignなどのDTP ソフトウェアが適していると考えられます。

<<prev      next>>