1.5.1. 式言語

 DSSSL式言語は、IEEE Scheme規格および「Schemeに関する報告改訂4版(R4RS)」で定義するプログラム言語Schemeに基づくことになっています。
 Schemeは人工知能言語として有名なLispをルーツとするリスト処理言語です。
 Lisp言語は、リスト処理言語として人工知能の基礎研究にも利用されました。方言の多い言語になってしまったため、共通語にあたるCommonLisp が制定されました。その頃、CommonLispと同じ仕様で最小限の記述文法をもつSchemeがIEEEによって制定されています。SchemeはLispに比べ、小さな実行編成をすることができます。
 DSSSL式言語は、このSchemeを基盤として、Schemeの持つ副作用を取り除き、ASCII文字集合への依存性を排除し、DSSSL特有のKeyWordを提供し、SDQLが実装され、DSSSL記述構文としてDSSSL指定ができるようになっています。
 DSSSL式言語の特徴は次の通りです。

<DSSSL式言語の特徴>

  • 静的スコープをもつ。
  • 暗黙の型をもつ。
  • 型は、オブジェクトの値に関連する。
  • 手続き、計算過程で生成するオブジェクトは無限の有効期間をもつ。
  • オブジェクトが後の計算で必要でないことが明らかな場合は、その占める記憶を再要求できる。
  • 反復計算が構文上再帰的な手続きを用いて記述されている場合にも一定空間で計算できる。
  • 手続きは、それ自体がオブジェクトになる。
  • 手続きに対する引数は、常に値で渡される。(引数式は、あらかじめ評価される。
  • かっこ ( ) でくくった前置記法を用いる。
  • 構文は、データ用の副言語を生成できる。

 このDSSSL式言語について、本書の第3章で詳しく解説しています。

<<prev      next>>