4.4.1. 流し込みオブジェクト

(a) 領域:流し込みオブジェクトの入れ物

 流し込みオブジェクトは決まった形を持ちません。領域という入れ物に流し込まれることによってはじめて形を持ちます。DSSSLにおける文書要素のフォーマットとは、流し込みオブジェクトを領域の中におさめることです。領域については、後にくわしく説明します。

(b) 流し込みオブジェクトクラスと特質

 流し込みオブジェクトクラスという概念は、オブジェクトが組版上で何に当たるか(例:ページの枠、段落、文字、図、表など)を示すものです。特質は、オブジェクトに対する具体的なスタイル指定要素を表します。
 たとえば、段落流し込みオブジェクトクラスのオブジェクトは、フォーマット処理において段落として認識されます。そして、そのオブジェクトをページ上で段落として表現するために必要なスタイル指定が行われます。段落オブジェクトの特質は、段落に対するスタイル指定の具体的な内容を表しています。

<段落に対するスタイル指定の内容>

  • 行分割法
  • 行揃え法
  • 行間のスペース量
  • 字間のスペース量
  • インデントのスペース量
  • 孤立行の制限

(c) 流し込みオブジェクト木

 流し込みオブジェクトは、入力されたSGML文書と同じく木構造になっています。これを流し込みオブジェクト木といいます。木構造は、オブジェクトの親子関係を示しています。1つのオブジェクトが複数の子オブジェクトを持ち、それぞれの子オブジェクトがさらに複数の子オブジェクトを持つという構造になっています。何を子にできるかは、クラスごとに決められています。
 以下の図では1ページが複数の段落を含み、1つ1つの段落がそれぞれ複数の文字を含んでいます。

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