4.1.1. テキストの読みやすさ

 条件1、2、3は、テキスト(文字列)レベルでの読みやすさを左右するものです。

(a) 条件1 紙面の枠組み

 条件1は、紙面に見やすい枠組みを作るということです。この枠の中に内容を配置します。枠は1つとは限りません。段組みでは、1つの段が1つの枠に当たります。レイアウトの際には、それぞれの枠の大きさと配置を決める必要があります。どのくらいの大きさの枠をどう配置するかは、紙面を視線がどう流れると見やすいかを考慮して決めます。
 位置決めは、座標の指定で行うこともあり、枠の周りのスペースの指定によって行うこともあります。スペースを指定すると、枠の配置と同時に大きさも決まります。
 たとえば、版面のサイズは、上下・左右の余白の大きさを指定することによって決まります。版面のサイズが決まると、行長も決まります。段組みにする場合は、段の数と段間のスペースの大きさを指定することによって、段の幅と行長が決まります。

(b) 条件2 フォント

 条件2に対応するのは、フォントの種類やフォントサイズの指定です。
 フォントの種類にはわかりやすい例を挙げると、明朝体とゴシック体があります。フォントの種類は文章の内容や目的にあったものを選択します。また、和文組版では縦組みと横組みでフォントを使い分けます。かっこなどの記号類の向きが縦組みと横組みでは異なるからです。
 フォントサイズは、条件1で指定した版面のサイズや行長に応じて、読みやすい大きさを指定します。

(b)条件3 スペース

 余白・段間など、枠の周りのスペースは、条件1にある紙面の枠組みを決定する要素となりました。行間、語間、字間のスペースは、文章を枠の中におさめる際に読みやすい配置を決定します。これらのスペースは、読みやすさを決定する要素の中でも基本的なものです。

<1>行間

 行間は、行長が長い場合は広くとり、行長が短い場合は狭くすると読みやすくなります。
 行間を決めるのに、行間そのものの大きさを直接に指定するとは限りません。通常は、文字の中心から次の行の文字の中心までの距離を指定して決めます。この距離を行送りといいます。欧文の行送りは、ベースラインから次の行のベースラインまでの距離です。
 行間そのものの大きさは、上限は文字の大きさと同じで、下限は文字の大きさの2分の1とするのが普通です。

<2>行間

 語間は欧文のみにあるものなので、欧文組版のところで説明します。

<3>字間

 字間の考え方は、和文と欧文とではかなり異なります。なぜなら、和文文字は通常、どの文字も同じ大きさの「全角」であるのに対して、欧文文字は文字によってそれぞれ幅が異なるからです。これを「プロポーショナル」といいます。

 全角の場合、字間は基本的に一定になります。このような字送りをモノスペーシングといいます。字間は文字の中心から次の文字の中心までの距離(字送り)の指定によって決まります。字間がゼロになる文字の組み方をベタ組みといい、字間がマイナスになる組み方を詰め組みといいます。
 欧文文字を一定量で字送りすると、幅の細い文字が続く場合は間延びして見えます。字間を均一に見せるために、文字の幅に応じた量で字送りすることをプロポーショナルスペーシングといいます。
 組み合わせる文字の形によっては、それでも字間が空きすぎて見えることがあります。そこで、文字と文字の間を、文字の組合せごとにそれぞれ違った量で詰めることにより、見た目を整えます。この詰め組みによる字間の調整をカーニングといいます。

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