「DSSSL」は、ISO(国際標準化機構)によって、1996年に国際標準規格「ISO/IEC 10179−1996 Document Style Semantics and Specification Language (DSSSL)」として制定された「文書スタイルの意味を指定するための言語」に必要となる規定です。
JIS(日本工業規格)の翻訳により、1998年には日本でも「JIS X 4153:1998 文書スタイル意味指定言語(DSSSL)」として発行されました。
DSSSL で言うところの「文書」というのは、基本的に「SGML/XML文書」を指します。ただし、DSSSLの使い方が多岐に渡ってきましたので、解りやすく言い直せば、「データの構造と要素が定義されているもの」を対象として「スタイル(体裁)」を与えることができる、ということがDSSSLの目的の一つと考えることができます。
DSSSLで言う「意味」というのは、コンピュータ科学で言うところの「構文」と「意味」で対比される「意味」を指していて、読者は「自然に対しての形式的な意味の定義」ぐらいに考えれば良いと思います。例えば、「ページ」というのは自然に、というか日常に存在するものですが、DSSSLのなかで言語として「page」が指定された際には、どのように扱えば良いか、ということが規定してあるのがDSSSL規格であるわけです。
DSSSL規格は、文書の処理指定を目的として、次の二つの言語に関して、その構文・意味・処理モデルを定義しています。
- SGML文書を別のSGML文書に変換するための変換言語
- SGML文書を読みやすく自動組版するためのスタイル言語
本書では、変換言語については、ごくあっさりとしか触れず、スタイル言語についての説明に多くのページを割いています。変換言語についての解説は別の本にして出版する予定です。
さて、DSSSLとは…
- ISOで制定した国際標準規格である。
- JISが翻訳し、発行している。
- 文書スタイルの意味指定をする言語である。
- SGML文書を読みやすく自動組版する。
…この4つさえ解ってもらえれば、まずは大丈夫です。
さあ、世界中の多くの専門家たちが口を揃えて「難しい」とか”Very hard!”と言ってこられてきた「DSSSL」をもしかすると、いえ、たぶん初心者である読者のあなたのために、解りやすく、少しづつ手引きして差し上げたいと思います。どうぞ、まずは、DSSSLの背景から、ごゆっくりとお読みください。