この共通特質は、40余りもありますので解りやすいようにいくつかの機能別にまとめました。ここではこの共通特質について機能別にご説明します。
共通特質以外の特質については、次の節で流し込みオブジェクトごとに説明しています。
<共通特質の機能別分類>
- (a) フォント
- (b) 線
- (c) 行外領域の配置
- (d) スパン
- (e) 言語関連
- (f) インデント
- (g) グラフィカル表示関連
- (h) 表記方向
- (i) 改行許可の設定
- (j) 行外・行内の設定
- (k) シフト
- (l) 行外オブジェクトの配置
- (m)内部領域座標の設定
それでは、どのような共通特質があるのか見ていきましょう。
(a) フォント
フォントに関する特質は、段落や文字だけでなく、それをポートに持つ傍線・抹消線や数式解除(数式中の自然言語)にも適用されます。
使用クラス: 段落、文字、傍線・抹消線、数式解除
- font−family−name: string | #f
- default = iso−serifフォントファミリー名
- ISO/IEC 10180に定義されています。
- font−weight: symbol | #f
- default = ’mediumフォントの重み
- ultra−light
- extra−light
- light
- semi−light
- medium
- semi−bold
- bold
- extra−bold
- ultra−bold
- not−applicable – 利用不可 –
- font−posture: symbol | #f
- default = ’uprightフォントの傾斜
- upright
- oblique
- back−slanted−oblique
- italic
- back−slanted−italic
- not−applicable – 利用不可 –
- font−structure: symbol | #f
- default = ’solidフォントの構造
- solid – 塗りつぶし –
- outline – 輪郭のみ –
- not−applicable – 利用不可 –
- font−proportionate−width: symbol | #f
- default = ’mediumフォントの字幅
- ultra−condensed
- extra−condensed
- condensed
- semi−condensed
- medium
- semi−expanded
- expanded
- extra−expanded
- ultra−expanded
- not−applicable – 利用不可 –
- font−name: symbol | #f
- default = #fフォント名の公開識別子
- font−size: length
- default = 10ptフォントを変倍する大きさ
- (注:数式解除クラスには、この特質は存在しません。)
#fの値を指定した場合は、利用不可ではなく、任意のものを許容することを意味します。
(b) 線
これらの特質は、直線が関係するオブジェクトに適用されます。
使用クラス: 側線、罫線、傍線・抹消線、囲み罫、表セル、表罫線
(例外:length: は罫線およびリーダ罫でのみ利用可能です。)
- line−cap: symbol
- default = butt線端の形状
- butt
- round
- square
- line−dash: list ( number, vector )
- default = list ( 0pt )破線パターン
- (listの内容の詳細はISO/IEC 10180参照)
- line−thickness: length
- default = 1pt線の太さ
- line−repeat: (positive) integer
- default = 1引く平行線の数
- line−sep: length
- default = 1pt引く平行線の間隔
- length: length−spec
- default = 文脈依存線の長さ
(c) 行外領域の配置
行外領域の配置に関連する特質です。ページレイアウトそのものを示す単純ページやページ列を除く、ほとんどの行外領域に適用されます。
使用クラス: 行外グループ、段集合列、段落、罫線、外部グラフィック、取り込みコンテナ領域、囲み罫、並び、揃い段、表、表部部分
- keep−with−previous?: #f | boolean
- keep−with−next?: #f | boolean
- default = #f直前/直後のオブジェクトと同じ領域に配置するか?
- keep: #t | symbol | #f
- default = #f生成する複数領域を配置する範囲を指定します。
- #t 可能な限り小さい領域に配置する。
- page 同じページ内に配置する。
- column−set同じ段集合内に配置する。
- column 同じ段集合内に配置し、それぞれの領域を段抜きする最初の段が同じになる。
- #f 制限しない。
- may−violate−keep−before?: boolean
- may−violate−keep−after?: booleanc
- default = #f直前/直後のオブジェクトとの位置決めに関して先祖の指定したkeep:を無視するか?
- break−before: #f | symbol
- break−after: #f | symbol
- default = #fこれで指定された領域を開始/終了します。
- page
- page−region – ページ区域 –
- column
- column−>set
- space−before: display−space
- space−after: display−space
- default = (空白を挿入しない)オブジェクトの前/後に挿入する空白を指定します。
- position−preference: #f | symbol
- default = #f段集合列の上部浮動・下部浮動両方の区域に流し込まれる時、どちらかの区域に限定する場合に指定します。
- top
- bottom
- (注:クラス「表部部分」には、この特質は存在しません。)
(d) 段抜き
段抜きに関する特質です。段集合列の中に含まれる行外領域で使われます。
使用クラス: 段集合列、段落、錨、罫線、外部グラフィック、取り込みコンテナ領域、囲み罫、表
- span: (positive) integer
- default = 1段抜きする数の指定
- 先祖に段部分集合があり、流し込み先の上部浮動区域、本文区域、下部浮動区域が段抜き可能である場合にのみ有効です。
- span−weak?: boolean
- default = #f生成される領域が弱い段抜きを行うか?
- span:の値が2以上の場合にのみ有効です。
(e) 言語関連
フォーマッタが対応する国・言語別の行組版方法を指定するのに使われます。行組版方法についての処理はフォーマッタ(処理系)依存です。
使用クラス: 段落、 文字、埋め込みテキスト
国名、言語名を設定する特質です。
- language: #f | string
- default = #f言語コードの設定(ISO 639)
- country: #f | string
- default = #f国名コードの設定(ISO 3166 = JIS X 0304)
インデント
行外領域に対するインデントの量を指定する特質です。
使用クラス: 段落、罫線、外部グラフィック、取り込みコンテナ領域、囲み罫、並び対象、揃い段、表、表列
- start−indent: length−spec
- default = 0pt表記方向の先頭からのインデント量
- end−indent: length−spec
- default = 0pt表記方向の末尾からのインデント量
(g) グラフィカル表示関連
グラフィカルなオブジェクトに対し、色および重ね合わせ処理を設定する特質です。
使用クラス: 側線、文字、罫線、外部グラフィック、傍線・抹消線、囲み罫、表罫線
- color: color
- default = カラー空間device−grayのデフォルト色生成する時の色
- layer: integer
- default = 0重ね合わせの優先順位。数値が低い方から可視化されます。
(h) 表記方向
表記方向を指定する特質です。
使用クラス: 単純ページ、段落、行フィールド、文字、罫線、外部グラフィック、取り込みコンテナ領域、囲み罫、揃い段、数式解除、表、スクロール
- writing−mode: symbol
- default = ’left−to−right行内領域の表記方向の設定
- left−to−right
- right−to−left
- top−to−bottom
(i) 改行許可の設定
使用クラス: 行フィールド、錨、文字、リーダ罫、埋め込みテキスト、罫線、外部グラフィック、取り込みコンテナ領域、傍線・抹消線、囲み罫、グリフ修飾、複数行行内注釈、強調マーク
(例外:inhibit−line−breaks?:は、埋め込みテキストおよび傍線・抹消線でのみ利用可能。)
- break−before−priority: integer
- default = 0オブジェクトの前での改行の優先度(行分割位置の決定に影響)
- break−after−priority: integer
- default = 0オブジェクトの後での改行の優先度(同上)
- inhibit−line−breaks?: boolean
- default = #fフォーマッタによって自動的に生成された 改行を受け入れるか?
(j) 行外・行内の設定
行内領域にも行外領域にもなりうるオブジェクトについて、その区別を設定します。
使用クラス: 錨、外部グラフィック、取り込みコンテナ領域、囲み罫
- display?: boolean
- default = #fオブジェクトが行外領域か?
(k) シフト
行内領域についている位置決め点をずらすことによって行内オブジェクトのシフトを行う特質です。
使用クラス: 文字、罫線
- position−point−shift: length−spec
- default = 0pt行内領域の位置決め点の移動量
(l) 行外オブジェクトの配置
この特質は、行外領域である場合にのみ適用されます。
使用クラス: 罫線、外部グラフィック、取り込みコンテナ領域、揃い段、表、表列
- display−alignment: symbol
- default = ’startオブジェクトを揃える位置を指定します。
- start – 表記方向の先頭 –
- end – 表記方向の最後 –
- center – 中央 –
- inside – ページ見開き内側 –
- outside – ページ見開き外側 –
(insideおよびoutsideはページ列を先祖に持ち、表記方向が綴じ込み辺と直交する場合にのみ
指定可能)
(m) 内部領域座標の設定
オブジェクトが生成する領域の座標系を設定するために用いられます。
行内領域オブジェクトにのみ使います。
使用クラス: 外部グラフィック、取り込みコンテナ領域
- position−point−x: length−spec
- default = writing−mode:がleft−to−rightまたはright−to−leftなら0内部領域のx座標の基準点を、オブジェクトを含んでいる外側の領域の座標系で設定します。
- position−point−y: length−spec
- default = writing−mode:がtop−to−bottomなら0内部領域のy座標の基準点を、オブジェクトを含んでいる外側の領域の座標系で設定します。
- escapement−direction: symbol
- default = (writing−mode:の値)内部領域の送り方向の設定
- top−to−bottom
- left−to−right
- bottom−to−top
- right−to−left