4.2. 和文組版

 「組版の概念」では、組版の抽象的な概念について述べました。この概念は和文組版にも欧文組版にも共通のものです。この節では、和文組版だけに見られる特徴と、それに伴うルールを説明します。
 和文組版には、欧文組版におけるシカゴルールやオックスフォードルールのような統一された組版ルールというものはありません。けれど、DTPの普及によって組版の専門家でない人が組版をするようになり、組版が乱れるようになってから、統一された日本語組版ルールの必要性が高まりました。その結果作られたのが「日本語文書の行組版方法」と「ページネーション・マニュアル」です。
 「日本語文書の行組版方法」は、日本工業規格として作られたものです。和文の行組版に関する規則、特に行頭禁則と行末禁則およびその処理について詳しく定めています。
 「ページネーション・マニュアル」は、グラフィックデザイナーの鈴木一誌氏が作ったものです。こちらはページ単位の組版ルールです。DTPソフト”QuarkXPress”を使うことを前提としており、組版の仕方だけでなく、入稿データの受け渡しについても具体的に決めています。
 この2つのルールは、「よい組版とは何か」がわからないときの指針とすることができます。

ここでは和文組版の特徴を以下の順に説明します。

<欧文との混植に由来する特徴>

  1. 表記方向が2つある(縦組みと横組み)
  2. 2つの表記法が混在している(和文と欧文)
  3. 2種類の文字を使う(和文文字と欧文文字)
  4. 文字を揃えるための基準線が2つある(センターラインとベースライン)

<和文組版特有の特徴>

  1. 約物に関する規則がある(全角、二分、三分、四分、六分、八分)
  2. 行分割に関する規則がある(行末禁則、行頭禁則、分離禁止)
  3. 和文特有の表記法がある(ルビ、圏点、割注)

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