(a) 引用(Quotation)
引用の組み方には次の2種類があります。
- 本文中に入れる(Run in)
- 本文から独立した行で組む(Set off)
本文中に入れる場合は、引用符が必要です。文字の大きさは本文のものと変える必要はありません。比較的短い引用は大抵は本文中に入れます。
本文とは別の行にする場合は、引用符は必要ありません。その代わり、本文との区別をつけるため、本文の文字より小さい文字を使います。また、本文行との間に空白行を入れ、境界を分かりやすくします。シカゴではこの上インデントするとしていますが、オックスフォードではそれはありません。この方法は、何行にも渡るような長い引用に使います。
(b) 図(Illustration)
- 図は本文の参照箇所となるべく近い場所に配置する
- 全面が図版のページは、柱とページ番号を省略する
図の配置については、「組版の概念」の条件6で触れました。関連のあるもの同士は近接して配置すると読みやすいということです。図は、それを参照する本文となるべく近いところに配置したほうが読みやすくなります。
図が全面にわたっているページの場合、柱とページ番号は省略します。ただし、全面が図のページが長く続くようなら、ページ番号を入れる場合もあります。
(c) 表(Table)
- 表の縦罫は省略する(一般に縦罫は組むのが負担になるため)
- 表を横向きにする場合は、表の頭を左に向けて配置する
- 複数のページに渡る表は、ページごとに列見出しを入れる
- 複数のページに渡る横向きの表では、途中の列見出しは左ページにのみ入れる
欧文組版では、表は横罫のみで組むのが一般的です。縦罫は組むのに負担になるため、オックスフォードでもシカゴでも使わないことを原則としています。
欧文組版では、表は横罫のみで組むのが一般的です。縦罫は組むのに負担になるため、オックスフォードでもシカゴでも使わないことを原則としています。
複数のページにわたる長い表を組む場合には、列見出しは、表の最初だけでなく、ページが変わるごとに入れる必要があります。横向きの場合は、見開き2ページで表が視覚的に連続しているので、左ページにのみ列見出しを入れます。
(d) 脚注(Footnote)
- 脚注は、参照する本文と同じページから開始する
- 本文より小さい活字を使う
- 本文と脚注との間は空白行か罫で区切る
脚注の配置についても、「組版の概念」の条件6で既に述べました。脚注の文は、それを参照する本文と同じページから開始しなければなりません。次のページに渡ることは許されていますが、開始点は必ず同じページ内に置きます。
本文と脚注との区別をはっきりさせるため、脚注の文字は本文の文字より小さいものを使います。本文と脚注との間には空白行か罫を入れて区切ります。
(e) 索引(Index)
- 原則として右ページから開始する
- 通常は2段組みにする
- Flush−and−hangスタイルを使う
- 本文より小さい活字を使う
索引は、本の構成の中では、本文の後につけるもの(Back matter)のうちの1つです。本文とは別の部分として構成されるものなので、右ページから開始します。
和文組版では、文章の新しい部分を開始するときにページ番号が奇数のページから始めることを改丁といいます。丁とは1枚の紙を表し、表裏2ページで1丁と数えます。前の内容が丁のどこで終わっていても、次の内容を次の新しい丁の表に配置します。丁の表は、縦組みでも横組みでも奇数ページになります。
改丁というのは単なる改ページとは異なり、本の中で、前のまとまりと新しいまとまりとの区切り目をはっきりさせる意味があります。欧文組版にもこの概念が存在します。欧文組版の、右ページ(奇数ページ)から開始するというのは、和文組版の改丁と同じことです。
スタイルは、2段組みにします。そして、最初の項目を左に揃え、その下位の項目はインデントするというFlush−and−hangスタイルをとります。
<副項目(Subentry)の組み方>
- Run in:主項目の後に連続して配置する(主項目と同じ行に続ける)
- Indented:副項目を独立した行に配置する(1項目ごとに新しい行を使う)
ただし主項目よりインデントする
下位の項目(Sub−subentry)は更にインデントする
どちらの方法でも、項目が決められた行長より長く連続してはみ出た部分は、次の行にインデントして配置します。
Run inではスペースが節約できます。Indentedではより多くのスペースが必要ですが、引きやすい索引になります。
索引では本文より小さい活字を使います。オックスフォードでもシカゴでも、本文の活字より2ポイント小さいものを使うのが普通だとしています。