1.3.4. スタイル言語

 スタイル言語(Style Language)は、文書スタイル(レイアウト)の指定に用います。ワードプロセッサなどのように、画面を見ながら文字に装飾を施したり、段落を整形するのとは異なり、DSSSLでは、DTDに定義されている要素に対応するスタイル指定を記述したファイル(スタイルシート)を用意し、これに従って文書をフォーマットします。
 スタイルシートの作成は、最初のうちは煩わしいものに感じられるかもしれません。スタイル指定を記述しながら、それらすべてのイメージを頭の中で構築できれば良いのですが、実際にはそうもいかないでしょう。とりわけ最初のうちは、指定の変更を行っては文書フォーマット処理を実行して結果を確認する、という作業の繰り返しになるのではないかと思います。
 だからといって、落胆することはありません。いつも全く異なる形式、全く異なる体裁の文書しか作成しないのだ、という人であれば話は別ですが、たいていはほとんど同じ形式・体裁の数種類の文書に集約されるはずです。であれば、スタイルシートは一度作成するだけでよく、後からそれに煩わされることもありません。ワードプロセッサなどを用いて、同じ形式の文書を何度も作成し、その度に同じようなレイアウト作業を繰り返し行うことを考えると、スタイルシートの作成に手間をかけるだけの意義を、多くの方が見いだせることと思います。
 本書は、このスタイル言語を中心に解説を行います。DSSSL規格におけるスタイル言語の機能は、一般的な要求を満たすには十分すぎるほどに豊富です。実のところ、現在入手可能なDSSSLプロセッサにはそれらの機能すべてに対応したものはないのですが、それでも大概の用途には必要十分なだけの機能がそろっています。また、未対応の機能であっても、ものによっては対応済みの機能をうまく組み合わせることによって、同様の効果を擬似的に再現することも不可能ではありません。

<<prev      next>>