3.1. ページシーケンス

 文書を構成する要素について突き詰めていくと、それは文字であったり、あるいは図や表であったりします。そして、これらを描くためにはキャンバスとなるものが必要です。改めて説明するほどのことではありませんが、物理的には一枚の印刷用紙が、概念的にはページがキャンバスに相当します。
 さて、文字や図を表示するには、それに先立ってページ(用紙)のサイズなどを決める必要があります。用紙サイズなどのページ特性を指定するために用いるのがページシーケンスです。ただし、ページシーケンスは単にページ特性情報を持っているというわけではありません。たとえば、表紙と本文、あるいは見開きの右ページと左ページで余白などのレイアウトを変更する必要があるとします。これを実現するために、各ページごとにページ特性を指定することは、普通に考えればナンセンスといえます。ページシーケンスの本来の役割は、こういった「右ページはこのレイアウト、左ページはこのレイアウト」といった条件に従って適切なページを自動選択して生成することにあるといえます(図3.1)。


図3.1 ページシーケンスからページを生成

 ページシーケンスは非常に柔軟なページ制御が可能になっているのですが、その分だけスタイル指定もやや複雑になっています。そこで、この複雑な指定の代わりに、ページ制御機能を実質的に取り払って、単純に同じレイアウトのページを繰り返し生成する、その代わりスタイル指定をぐんと簡略化した simple-page-sequence フロー・オブジェクト・クラスが用意されています[1]

[1] 完全な機能を持つ page-sequence フロー・オブジェクト・クラスについては第6 章で解説しています。

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