7.1. 特質の継承

 CSS(Cascading Style Sheets)を利用したことのある方なら、プロパティの継承について耳にしたことがあるのではないでしょうか。DSSSL にも同様の性質があり、親のフロー・オブジェクトから子のフロー・オブジェクトへと特質が継承されます。図7.1のようにフォーマットされるドキュメントの場合、トップレベルのフロー・オブジェクトである simple-page-sequence の特質はその子孫(図の display-group, paragraph #1,paragraph #2, box)それぞれに受け継がれます。


図 7.1 フロー・オブジェクト・ツリー

 ただし、特質には継承されるものと継承されないものが存在することに注意してください。全体の割合からすると継承されない特質の方が数は少いはずですが、いずれにしても数が多いため、どの特質が継承されるかを資料なしに判断することは困難です。規格書のほか、本書付録のフロー・オブジェクト・クラス一覧に継承についての情報を掲載していますのでそちらを参考にしてください。
 継承した特質は、そのフロー・オブジェクトの特質未指定時の値として参照されます。たとえば図7.1を例にとると、simple-page-sequence フロー・オブジェクトに font-family-name: “Times Roman”, font-size: 12pt と指定し、paragraphフロー・オブジェクト(#2)に font-size: 10pt と指定した場合、書体ファミリーは図中のどのフロー・オブジェクトも Times Roman となり、書体サイズは simple-page-sequence,display-group, paragraph(#1)では 12pt、paragraph(#2)および box フロー・オブジェクトでは 10pt になります。

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