2.3.1. 式言語の文法

 私たちが日常的に利用する言葉に文法があるように、プログラミング言語にも文法があります。プログラミング言語の文法は、曖昧さを排除するために自然言語の文法より厳密に定義されています。
式言語の文法は特徴的です。式言語の元となっているSchemeは、プログラミング言語LISP[1]のいくつかある方言の一つです。Schemeを含む大部分のLISP系言語に共通の特徴は、プログラムとデータを表すために、省略なくカッコでくくられた前置記法を使用することです。

 たとえば、3+4は次のように記述します。

(+ 3 4)

 3+4-5であれば、

(- (+ 3 4) 5)

となりますし、3+4-5×6ならば

(* (- (+ 3 4) 5) 6)

となります。

 なんだか奇妙に思われるかもしれませんが、これは「こういうもの」と割り切って慣れてしまうのが一番の近道です。実際にプログラムを書くにあたっては、カッコの対応がとれているかどうかに注意する必要があります。入力中にカッコのバランスを逐次チェックするテキストエディタ[2]もありますので、そういったツールの補助を有効利用するとよいでしょう。

[1]LISPという名前は“LISt Processer”からくるものですが、“Lots of Irritating Superfuluous Parentheses”(うっとうしいほど大量のカッコの山)からくるのだという神話もあります。
[2]GNU Emacs <http://www.gnu.org/software/emacs/emacs.html>など。

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