2.3.4. 式の構成

 式言語の最小処理単位は「式(expression)」です。式とは何であるかといえば、これは、評価すると何らかのデータ(オブジェクト)を返すトークンの集合を指します。もっとも単純なものは定数および変数です。これらは、評価するとそれ自身の値を返します。
 しかし、実際に式という場合は、大抵手続き(procedure)の呼びだしのことを指しています。手続き(関数と呼ばれる場合もある)とは、何らかの処理を行なって結果を返す機能の集合のことで、多くの場合、呼び出しには何らかの入力データを伴います。手続き呼び出しを一般化した形式であらわすと、次のようになります。

(procedure obj)

 obj は任意のオブジェクトで、省略される場合もあれば、複数個になる場合もあります。また、手続きに与えるオブジェクトを引数と呼びます。オブジェクトには型があり、手続きによっては特定の型のオブジェクトを引数に要求する場合もあります。オブジェクトの型(データ型)については、このすぐ後で説明を行います。手続きに関しては本書の範疇ではほとんど使用しませんので、ここでのまとまった説明は省略し、第5章以降で必要に応じて取りあげることにします。
なお、本書ではプログラミング言語Scheme の報告書の例に倣い、式 exp がオブジェクト obj へと評価されることを次のように表記します。

exp        => obj

例)
(+ 3 4)    => 7
(+ 3 4) は => オブジェクト「7」へと評価される

命名規則

Scheme には手続きの名前に関する命名規約があります。常に論理値を返す手続きの名前は、通常“?” で終わります[a]。また、ある型のオブジェクトを別の型の相当するオブジェクトに変換する手続きの名前は、“変換前の型名->変換後の型名” となります。たとえば、string->number は文字列を数値に変換する手続きです。

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